反プラセボ効果

反プラセボ効果

概要

ことば反プラセボ効果
よみがなはんぷらせぼこうか
英字表記例anti placebo effect

意味

薬効成分を含まない偽薬、あるいはただ皮膚を切って閉じ合せただけの偽手術など、有効ではないと考えられる医療行為でも実際に効果を示す場合があり、これをプラセボ効果と呼びます。

プラセボ効果の存在を信じるのであれば、「有効でないものは、人体にとって益にも害にもならない」という薬理学の常識は否定されなければなりません。

有効ではないと考えられるものでも、人体にとって益にも害にもなり得る。そのように考えることが妥当です。

プラセボ効果が害になる時、これを「反プラセボ効果」や「逆プラセボ効果」と呼ぶことがあります。

これらの害を為す効果は科学研究の対象となり、現在ではその存在が広く認められたことから「ノセボ効果」という固有の名前が与えられています。

接頭辞・形容詞が消えるとき

言葉の成り立ちを考える上で、その言葉を構成する要素ごとに分解してみることは非常に有効です。

  • 反プラセボ効果 = 反(接頭辞) + プラセボ効果(名詞)
  • 逆プラセボ効果 = 逆(接頭辞) + プラセボ効果(名詞)
  • 悪いプラセボ効果 = 悪い(形容詞) + プラセボ効果(名詞)

表現したい言葉を、「プラセボ効果」のように広く知られた名詞に修飾を施す形で組み立てる。新たな表現の多くはこのようにして創られていきます。

しかし当の表現したい言葉が広く知られるようになると、修飾を施すというまどろっこしい方式は打ち捨てられ、全く別の名詞が新規概念として切り出されることになります。

今回の例で言えば、「ノセボ効果」がそれに当たります。

ことばとして新たに切り出された概念はその存在を確立し、以下のようなというポジティブ・フィードバックループに組み込まれ一般化されていきます。

  1. 新たなことば、概念として切り出される
  2. 広く使われるようになる
  3. 存在感を増す
  4. さらに広く使われるようになる(3に戻る)

反プラセボ効果という意味をもつ「ノセボ効果」が新たなことばとして英語に導入されたのは、1961年とされています。広く使われているとは言い難い現状ではあります。