意味
ことば | 疑似薬 |
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よみがな | ぎじやく |
英字表記例 | false drug |
表記ゆれ | 擬似薬 |
意味
本物の薬に似せて製した薬。
「偽薬」の異表記として使用されることがある。
疑似の価値
疑似薬、疑似餌、疑似恋愛。
疑似が付く言葉は、本物ではなく疑似であることそのものが利点となっています。
虚構と真実の狭間で光るもの
しかしよくよく考えてみれば、疑似を利用する人には、疑似をホンモノだと思い込ませる対象が必要なようです。
釣り人の使う疑似餌は、魚にとってはホンモノでなければならないように。キャバクラ嬢にとっての疑似恋愛は、客にとってはホンモノだと感じられなければならないように。
疑似は使われる人と使われる対象がいて、真実と虚構の境界を曖昧にし、人生を豊かにするものかもしれません。
疑似薬の価値
では、疑似薬の場合はどうでしょうか?
疑似薬もまた、製薬企業や医師によって使用され、被験者ないし患者にホンモノであると思い込ませることにその価値があります。
ある薬をホンモノであると公的に認めさせるには、ニセモノもホンモノに見せかけた上で両者を比較し、ホンモノの方がより効果が勝っていることを証明しなければならないからです。
しかし近年、新たな薬と疑似薬とを比較した際に両者の効果に違いが見出せないケースが増えています。
ホンモノの真実性を証明しようとしたのに、ホンモノの虚構性が示されてしまうわけです。多額の研究開発費を投じた製薬企業にとって、これは悲劇以外の何物でもありません。
疑似薬の効果
ただ注意しなければならないのは、ホンモノと疑似の差が見られなかっただけで、疑似薬が効かなかったわけではないということです。
この疑似薬の効果はプラセボ効果として一般化され、広く知られています。
だとすれば上記の現象は、虚構だと思われていた疑似薬の真実性を逆に示していると言えるのではないでしょうか?
真実だと思われていたものが虚構となり、虚構が真実となる。疑似薬は他の疑似よりもさらに強くその境界を曖昧模糊なものとしているようです。