減薬

減薬

概要

ことば減薬
よみがなげんやく
英字表記例reducing drugs

意味

服薬数量を減らすこと。服薬成分量を減らすこと。

2種類の減薬

薬ということばには、効能を示す化合物としての薬物を指す場合のほか、薬物を製剤化した薬剤を指す場合もあります。

したがって、減薬ということばは少なくとも以下の2通りの解釈が可能です。

  • 薬物の量を減らすこと
  • 薬剤の数を減らすこと

薬物の量を減らすこと

薬の溢れかえる現代では、同じ成分で異なる量の薬物が配合された医薬品が多数出回っています。

一般的にこれらは、少なすぎて効かないか、効果が現れるには少なすぎる場合に、薬物の量を増量する目的で使用されます。

用量として最初は「5 mg」の製剤から服用し始め、「10 mg」、「20 mg」へと徐々に増量するように。

減薬においては増量する過程の逆を行い、薬物の量を減らしていき、最終的には薬が無くても日常生活を送ることができる断薬状態を目指します。

微調整を要する場合には薬剤を半分に切断するなどして、体内に摂取する薬物量を徐々に減らすこともあるようです。

薬剤の数を減らすこと

精神的・身体的疾患の病識があり、より良い医療の機会があるはずだと信じる患者の場合、同じような病態に基づいて複数の医院やクリニックを巡り、医薬品を複数回処方してもらう場合があります。

あるいは、異なる症状に対して異なる診療科を受診した場合に、同一の薬効を示す薬剤を重複して処方される場合があります。

処方せんを持ち込む先がかかりつけ薬局だけであったり、おくすり手帳を欠かさず薬剤師に提示していれば問題を未然に防ぐことができる可能性が高いですが、現状ではそれほどうまく機能していません。

多剤投与に対しては、未然に防ぐ方法だけでなく、既に起こっていることとして問題解決策が求められます。

多剤投与が発覚した場合、薬効が似た薬を一種類にまとめてしまい、服用する薬剤の数自体を減らすことが試みられます。

「薬剤の数」を減らす場合も、「薬物の量」を減らす場合と同様に、目標はより少ない数の医薬品を使用して日常生活が送れるようになることです。

厚生労働省は多剤投与の解消を目指す

診療報酬制度改革

薬剤費の高騰が社会保障に割り振られる予算を圧迫する現状を解消すべく、多剤投与に対して規制が敷かれています。

医療機関が1人の患者に3種類以上の睡眠薬を処方した場合、診療報酬を大幅に減らす。

こうした規制を設けて、過剰投薬による薬漬けを防ごうというものです。

ポリファーマシー対策

多剤投与による健康被害の深刻化が懸念され、英語の「ポリファーマシー」ということばを用いて対策が検討・実施されています。

多剤投与に対する根本的な対処法は、減薬をおいて他にありません。

減薬と偽薬

偽薬は薬効成分を含まない薬のニセモノです。

減薬する際に減るものは、薬物の量や薬剤の数だけではありません。「しっかりと薬を飲んだ」という実感も減ってしまいます。

プラセボ効果の存在を信じるのであれば、この「しっかりと薬を飲んだ」という実感を減らしてしまうことには注意が必要です。この実感こそが薬効の本体かもしれません。

プラセボ製薬では、減薬を試みる際には薬の似せて作った食品としての偽薬を有効利用できるかもしれないと考えています。

禁断症状や離脱症状をできる限り抑えつつ、少しでも減薬を楽にすることに偽薬が貢献できると信じています。