概要
ことば | 実薬 |
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よみがな | じつやく |
英字表記例 | actual drug |
意味
実際に効果があると確認された薬。
特に医薬品の臨床試験において対照群に既承認薬の投与群を設定する場合には、その既承認薬を実薬という。
偽薬以上、実薬未満
臨床試験で用いられる被験薬は、実薬であることを確かめる当の試験が終了するまで、偽薬以上の効果があるとはみなされません。
従って、薬理学的作用のある成分を含む薬が、ただちに実薬だといえるわけではありません。
被験薬は、偽薬以上を期待されながら、実薬未満という中途半端な存在です。
実薬にもあるプラセボ効果
プラセボ効果は、薬の形をしていることや薬効に対する期待感によりその効果を現すと考えられています。
そうであれば、薬の形をした実薬も偽薬と同様にプラセボ効果を有すると考えなければなりません。
実薬の「真の効果」なるものは、プラセボ効果とは明確に異なると考えられていますが、実質的にこれらを区別する手立てはありません。統計的な操作によって差異を見出すことしかできないのです。
実薬から「薬に見えること」という特徴を除くことが出来れば、「真の効果」とプラセボ効果との区別が可能かもしれませんが、一休さんクラスの頓智マスターでなければこの問題に解を見出すことはできません。
ニセ薬が実薬になる?
ある種の医薬品には、ニセモノが有効成分として含まれています。ニセモノとは、生体がもともと有する物質に似せて作った化学物質のこと。
ニセモノが薬になるのは、そもそも薬の候補となる物質が生体由来の化合物を化学的に修飾するなどして発見されることが多いためです。
もともと生体に備わっている物質には生命を維持するための機能や作用を有していますので、これを化学的に真似して強めたり弱めたり邪魔したりすることで、身体の調子を半ば強制的に整えようという発想です。
ニセモノで上手くごまかすことができれば、カラダの調子は元通り。
医薬品開発の仕事は、良く効くニセモノ探しと言い換えられるかもしれません。