概要
ことば | 実薬対照試験 |
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よみがな | じつやくたいしょうしけん |
英字表記例 | active-cotrolled study |
意味
薬効成分を含む実薬の投与群を対照群として設定した試験。
通常、対照群には偽薬が投与されるが、特別な理由がある場合に実薬が使用される。
実薬を対照とする理由
プラセボ対照試験において薬効成分を含まない偽薬を用いることは、倫理的な問題を孕んでいます。偽薬を投与された被験者は、より有効だと考えられる治療を受ける機会を逃してしまうからです。
もし効果を確かめたい新薬による治療効果が、既に有効であると認識されている薬と同様のものであれば、比較対象としては偽薬よりも実薬の方が倫理的に優れていると言えます。
このような場合に実薬を対照とした臨床試験が行われます。
実薬対照試験では、被験薬の有効性が既承認医薬品よりも優れている、もしくは劣らないことが求められます。
新規医薬品として認可されるためには、必ずしも既承認医薬品より優れている必要はありません。
医療現場における倫理的な問題
倫理と科学とは、時に相反することがあります。臨床試験におけるプラセボの使用に関しても、倫理が科学に優先する場合があります。
もちろん、いつでも科学的真理を優先させなければならないということではありませんが、倫理に関する言及が、より本質的な事柄を覆い隠してしまう場合があることも忘れてはなりません。
非劣性と有効性
被験薬が既承認医薬品に対して非劣性であることと、被験薬に有効性があることは、必ずしも一致しません。
実薬対照試験において非劣性を承認の条件とすることは、一見倫理的にみえますが、必ずしも有効でない医薬品の承認につながる可能性があります。
臨床試験において、できる限り偽薬をつかうことと国際的な取り決めがなされている事実は、倫理に対する科学の非劣性を示しています。