概要
ことば | 似せ薬 |
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よみがな | にせぐすり |
英字表記例 | imitation drug |
意味
薬に似せた物。偽薬。偽造薬。
似せ薬という言葉の持つ意味からすれば、「偽薬」ではなく、むしろ「擬薬」という表現がより適切とも考えられます。
プラセボの説明における利便性
「プラセボ」ということばを初めて聞いて即座にその意味を理解することはできません。
プラセボとは薬がどのようなものか知っていることを前提に、その薬効成分だけが含まれていない物があり、臨床試験などで薬の比較対象として用いられて、などと説明されて初めて理解できる外来語だからです。
しかし、プラセボとは偽薬のことだとする簡潔な説明には、以下のような危うさが潜んでいます。
- プラセボは、偽薬より広い意味を持つことばであること
- 「偽」の持つネガティブな語感がプラセボのイメージを損ねること
プラセボ効果から理解する
プラセボに関して説明するにあたり、まず、プラセボ効果の存在を提示することで偽薬の語感にできるだけ縛られないようにする方法があります。
- プラセボ効果の存在を知らせる
- プラセボ効果を生み出し得るものの例として、似せ薬を挙げる
例えば、このように説明ができます。
「医療現場では効くはずがないものが実際に効いてしまう場合があり、プラセボ効果と呼ばれています。ちなみにプラセボとは、例えば、似せ薬のことです。ほかにも…」
偽薬とは何であり、偽薬はどのような現象につながるのかという順で説明するより、まずプラセボ効果の存在から説明する方が適切に思われます。
プラセボとは、プラセボ効果を生み出し得るすべての事象を指し示すことばだからです。
ただ「似せ」の音は「ニセ」であり、「偽」と同じなので、ポジティブなイメージ形成がどこまで上手くいくかは分かりません。