医薬品

医薬品

概要

ことば医薬品
よみがないやくひん
英字表記例drug

意味

疾病の診断・治療・予防を行うために投与する薬品。

薬効評価の加減算

医薬品と偽薬の効果は、以下の表を参照した加減算により評価されます。

医薬品偽薬
主作用なし
副作用なし
プラセボ効果(+)
ノセボ効果(-)

あまり重視されませんが、医薬品の効果にもプラセボ効果やノセボ効果がかかわっています。

医薬品とプラセボ効果

医薬品は、プラセボ対照試験において、偽薬よりも有効性が有意に優れていると確認され、法的に定められた承認プロセスを経たものです。

もしくは、既承認医薬品との比較で非劣性であることが確かめられたものです。

医薬品開発とプラセボ効果には、深い関係があります。

医薬品のプラセボ効果

医薬品は、医薬品に見えるように作られています。

健康食品や危険ドラッグなど、医薬品以外のものも医薬品に見えるように作られることがありますが、こと医薬品において、医薬品に見えることは必須の要件です。

医薬品が「お菓子」や「入浴剤」に見えてしまうと、それは「お菓子」や「入浴剤」と認識されてしまうためです。

さて、医薬品が医薬品に見えることで得られる効果があります。それは、プラセボ効果」です。

プラセボ効果は「医薬品に見えるものを服用することによって現れる効果」とも言えますので、医薬品に見えるものとしての医薬品自体にもプラセボ効果があります。

医薬品開発における臨床試験では、このプラセボ効果によって有効性の判定プロセスが惑わされないよう工夫がなされます。

医薬品としての偽薬

今度は逆に、偽薬を医薬品として使う場面を考えてみましょう。

あなたが病院に行き、「○○の薬です。しばらく飲んでみて、様子を見てみましょう。」と言われ処方された薬が偽薬であればどのように思うでしょうか?

「だまされた!」

そのように思われますか?

偽薬を医薬品として使用することには、倫理的な問題が生じます。どうしても「だまし」の要素が絡んでくる上、より有効だと考えられる治療を受ける機会が損なわれてしまう可能性があるからです。

しかし、そのことだけを理由にプラセボの医薬品としての使用を諦めることは、些かもったいないという気がします。

生活習慣病など緊急性の低い病的状態において、偽薬を第一選択薬とすることは医療費削減の最も有効かつ優れた方法だと当社では考えています。

オープンラベル・プラセボ

最近の研究においては、事前に偽薬であることを告げて服用を命じても、一定の治療効果を上げることが明らかにされています。

もちろん解決すべき問題があり、直ちに偽薬を医薬品として使用することを推奨するわけではありませんが、そのような試みがあっても良いはずです。

医薬品とノセボ効果

医薬品にもプラセボ効果がある一方、ノセボ効果もあり得ます。

これらのことは、いくつかの誤解を生んでいます。

プラセボと同程度の効果

製薬会社は新薬開発の最終段階で、人を対象とした臨床試験を行います。もしその結果が思わしくなかった場合、試験報告書では以下のような表現が為されます。

新薬には、プラセボと同程度の効果しか認められなかった。

この表現には、「新薬がプラセボと同等の低い効果しかなかった。」という否定的なニュアンスが含まれています。しかし、次のように考えることもできます。

プラセボには、新薬と同程度の高い効果があった。

プラセボ効果は、取るに足りない微かな兆候として表れる効果ではありません。実際に身体的、精神的、あるいは生理学的に変化を起こしうるはっきりとした効果です。

プラセボと同程度の副作用

今度は逆に、うまくいった臨床試験の報告書を見てみましょう。きっと次のような一文が見つかります。

新薬投与群における副作用の症状・頻度は、偽薬群と同程度であった。

この表現にはやはり、「新薬投与群における副作用の症状・頻度は、プラセボ群と同程度に低かった。」というニュアンスを含みます。しかし、偽薬による副作用としてのノセボ効果が軽微である保証はどこにもありません。

ノセボ効果もまた、はっきりとした変化を起こしうる効果です。

医薬品にもノセボ効果があることから、現在使用されている医薬品の原因不明な副作用の一部や、それらしき原因解説がなされている副作用例の一部はノセボ効果によるものと考えることもできます。

薬効を減じる効果

医薬品の主作用を減じる効果として、ノセボ効果という表現が用いられることもあります。

医薬品偽薬
望ましい変化主作用(+プラセボ効果)プラセボ効果
変化なしノセボ効果、相性が悪い(言明しない)
望ましくない変化副作用(+ノセボ効果)ノセボ効果